醒睡笑 巻2 躻(うつけ)
石州に板持(いたもち)といふ侍あり。かたのごとくなる大名なり。されどもうつけ比類なし。
ある時、西浄(せいじやう)に行き、「やれ蛇が食ひ付いたは」と高声(かうじやう)にわめかるる。人みなあはて行けば、木履(ぼくり)にて陰嚢を踏まへたり
御一雅も平等だらりと聞えて侍り1)。
一 石州に板持といふ侍ありかたのことくなる大 名也されともうつけ比類なしある時西浄 に行やれへびがくひついたはと高声に わめかるる人みなあはてゆけは木履にて 陰嚢をふまへたり(御一雅も平等だらりと聞えて侍り)/n2-35l