醒睡笑 巻2 名付け親方
心浮きたる侍の被官(ひくはん)に、五十に余る者あり。名を弥十郎とぞいひける。あるとき、主たる人、かの弥十郎を呼び出だし、「そちは年よりも余りに名が若いほどに、今日からは馬丞になれや」とありし時、笑みを含み、「いひむ」と笑ひければ、「きやつを馬丞と付けたれば、いさみて、はやいなないたよ」と。
一 心うきたる侍のひくはんに五十にあまる者 有名を弥十郎とそいひけるあるとき主たる/n2-6l
人彼弥十郎をよひ出しそちは年よりも餘 に名かわかいほとにけふからは馬丞になれやと ありしときゑみをふくみいひむとわらひ けれはきやつを馬丞とつけたれはいさみて はやいなないたよと/n2-7r