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醒睡笑 巻1 祝ひ過ぎるも異なもの

23 鍛冶屋の土佐といひて西洞院にありしもの祝ふこと人に過ぎたり・・・

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鍛冶屋の土佐といひて、西洞院にありし。もの祝ふこと人に過ぎたり。

年の暮れに、孫の七つ八つなるを近付け、「元日にわが顔を見、『日本の鉄床(かなとこ)は、みな爺(ぢい)の鉄床』と言へ」と、ねんごろに教へし。

明くる朝、「やれ松千代、昨日のことは」と問ふ時、「日本のかなしみは、みな爺のかなしみや」と言へり。

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翻刻

一 鍛冶(かぢ)屋の土佐といひて西洞院にありし
  物いはふ事人に過たり年の暮に孫の七八
  なるを近つけ元日に我か顔を見日本のかな/n1-78r
  とこはみなちいのかなとこといへとねんころ
  にをしへしあくる朝やれ松千代昨日の事
  はととふ時日本のかなしみはみなちいのかな
  しみやといへり/n1-78l