醒睡笑 巻1 鈍副子
うつけらしき坊主の方へ、折節は出入りする農人(のうにん)ありし。道行きぶりにあひ会ふ。見れば不浄をになへり。件(くだん)の出家、「そちは骨折りや。今より後、かまへて田畠(たはたけ)に糞(こやし)をせんと思ふなの。その代りに、われは仁王経1)を読まうぞよ。
一 うつけらしき坊主のかたへ折ふしは出入す る農(のう)人ありし道ゆきふりにあひあふみれは 不浄(じやう)をになへり件の出家そちはほねをり や今より後かまへて田畠(たはたけ)に糞(こやし)をせんとおも ふなの其代にわれは仁王経をよまふぞよ/n1-51r