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醒睡笑 巻1 鈍副子

8 非体戒雷震といふ観音経の文を何としても忘るれば・・・

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「非体戒雷震(ひたいかいらいしん)」といふ観音経1)の文を、何としても忘るれば、師匠あまりのことに、弟子が額(ひたひ)をつかまへて、「ここのことを思ひ出でよ」と教ゆるに、また忘れて、おのが額をとらへ、「ここ戒雷震」と読みしこと、申しふりたる鈍副子(どんふうす)や。

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一 非体戒雷震(ひたいかいらいしん)といふ観音経(くはんおんきやう)の文をなに
  としてもわするれは師匠あまりの事に
  弟子がひたいをつかまへてここの事を思ひ
  出よとをしゆるに又わすれてをのかひたいを/n1-50r
  とらへここかいらいしんとよみし事申ふり
  たるどんふうすや/n1-50l
1)
『法華経』普門品