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無名抄

第39話 喜撰が跡

校訂本文

喜撰が跡

また、御室戸の奥に、二十余丁ばかり山中へ入りて、宇治山の喜撰(きせ)が棲みける跡あり。家は無けれど、堂の礎(いしずゑ)など定かにあり。

これら必ず尋ねてみるべきなり。

翻刻

喜撰カ跡
又みむろとのおくに廿よ丁はかり山中へ入て
うち山のきせかすみけるあとありいへはなけれと
たうの石すゑなとさたかにありこれらかならす
たつねてみるへきなり/e33r