古今著聞集 草木第二十九
長元元年十二月二十二日、昭陽舎の桜を一本、清涼殿東北の庭に移し植ゑられけるに、殿上人ども下り立ちて、踏み固めけり。いと興あることなり。
昔はかやうにあちこち掘りわたし、また初めても植ゑけり。近ごろは限りある木のほかは、植ゑらるることもなきにや。
長元々年十二月廿二日昭陽舎の桜を一本清涼 殿東北の庭にうつしうへられけるに殿上人ともを りたちてふみかためけりいと興ある事也むか しはかやうにあちこちほりわたし又はしめてもうへ けりちか比は限ある木の外はうへらるる事もなきにや/s515l