古今著聞集 怪異第二十六
延長八年七月十五日酉の時に、大きなる流星、東北をさして行きけるが、その跡化して雲となりにけり。
同じき二十日、黒き雲、西南より来たりて、竜尾壇を覆ふ。すなはち風吹きて、大蛇の五・六丈ばかりなる落ちかかりて、高欄破れにけれど、蛇は見えざりけり。
延長八年七月十五日酉時におほきなる流星東 北をさしてゆきけるか其跡化して雲となり にけり同廿日くろき雲西南よりきたりて龍尾 壇をおほふすなはち風吹て大蛇の五六丈はか りなる落かかりて高欄破れにけれと蛇は見えさりけり/s464l