古今著聞集 哀傷第二十一
敦光朝臣1)、江帥2)の旧宅を過ぐとて、
往時渺3)茫共誰語 往時渺茫(べうばう)として誰と共にか語らん
閑庭唯有不言花 閑庭ただ不言の花あり
と作りたりける、いとあはれにこそ侍れ。
後京極殿4)、詩の十体を撰ばせ給ひけるに、この詩をば幽玄の部に入れさせ給ひたりける。
系図に註せるおほつかなき事也尋侍へし敦光 朝臣江帥の旧宅をすくとて往時眇茫共誰 語閑庭唯有不言花と作りたりけるいとあはれに こそ侍れ後京極殿詩の十体を撰はせ給けるに 此詩をは幽玄の部に入させ給たりける/s361l
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