古今著聞集 馬芸第十四
寛治五年五月二十七日、二条大路にて、放ち飼ひしける馬を取りて、移(うつ)しを置きて、競馬六番ありける。殿上人ぞつかうまつりける。東の陣の前より、西の中門に向けてぞ馳せける。主上1)、太鼓を打たせ給ひける。
たはぶれごとなれども、めづらしかりけることなり。
寛治五年五月廿七日二条大路にてはなちかひしける 馬を取て移を置て競馬六番ありける殿上人 そつかうまつりける東の陣の前より西の中門にむけ てそ馳ける主上太鼓を打せ給けるたはふれ事な れともめつらしかりける事也/s260r