古今著聞集 好色第十一
大宮権亮といひける人、ある宮腹の御方違(かたたがえ)の御車寄(みくるまよせ)に参りたりけるに、女房の局へ忍びて入りにけり。還御1)のよしを聞きて、あはてまどひて、起きて直衣を着けるほどに、何としたりけるにか、前を後ろに着てけり。
いかにをかしう見えけんと、推し量らる。
大宮権亮といひける人ある宮はらの御方違の御車寄 にまいりたりけるに女房の局へしのひて入にけり𨗴御 のよしをききてあはてまとひておきて直衣をきける ほとになにとしたりけるにかまへをうしろにきてけりい かにおかしうみえけんとをしはからる/s225l