古今著聞集 管絃歌舞第七
宇治殿1)、平等院を建立させ給ひて、延久元年2)夏ごろ、初めて一切経会を行はせ給ひけり。法会の儀式・堂の荘厳、心・言葉も及びがたし。
大行道楽(だいぎやうだうがく)に渋河鳥(しむがてう)を奏しけるに、多政資、一の者にて、一鼓(いつこ)かけて池辺をめぐるとて、「鴨のむなそり」といふ秘曲をつかうまつりける、時にとりていみじくなん侍りける。
宇治殿平等院を建立させ給て延久元年(白川)(後三条歟)夏比はし めて一切経会を行なはせ給けり法会儀式堂荘厳心こ と葉もおよひかたし大行道楽に渋河鳥を奏しけ るに多政資一者にて一鼓かけて池辺をめくるとて鴨 のむなそりといふ秘曲をつかふまつりける時にとりて いみしくなん侍ける/s165r