古今著聞集 管絃歌舞第七
康保三年十月七日、舞御覧1)ありけるに、小野宮右大臣2)、童にておはしけるが、天冠をして納蘇利(なそり)をつかうまつり給ひけり。
舞ひ終りて、御倚子(ごいし)のもとに召して、御衵(あこめ)を賜はせければ、左大臣(清慎公)3)、かしこまり悦び給ひて、立ちて舞ひ給ひけり。拝舞はな かりけり。ゆゑありけるにや。
康保三年十月七日舞御覧ありけるに小野宮右大臣童 にておはしけるか天冠をして納蘇利を仕まつり給けり 舞おはりて御倚子のもとにめして御衵をたまはせけれは 左大臣(清慎公)かしこまり悦給てたちて舞給けり拝舞はな かりけりゆへありけるにや/s162r