古今著聞集 和歌第六
宇治入道殿1)に候ひける、「うれしさ」といふはした者を、顕輔卿2)懸想(けさう)せられけるに、つれなかりければつかはしける、
われといへばつらくもあるかなうれしさは人にしたがふ名にこそありけれ
入道殿、聞かせ給ひて、「秀歌に返事なし。とく行け」とてつかはしけり。
宇治入道殿にさふらひけるうれしさといふはした物を顕輔 卿けさふせられけるにつれなかりけれはつかはしける われといへはつらくもあるかなうれしさは人にしたかふ名にこそありけれ 入道殿きかせ給て秀哥に返事なしとくゆけとてつかはし けり/s144l