古今著聞集 神祇第一
仁安三年四月二十一日、吉田祭1)にて侍りけるに、伊予守信隆朝臣2)、氏人(うぢびと)ながら神事(じんじ)もせで仁王講を行ひけるに3)、御あかしの火、障子に燃え付きて、その家焼けにけり。
大炊御門室町なり。その隣は民部卿光忠卿4)の家なりけり。神事にて侍りければ、火移ら5)ざりけり。恐るべきことなり。
仁安三年四月廿一日吉田祭にて侍けるに伊与守信隆 朝臣氏人なから神事もせて仁王講を行けるかり御 あかしの火障子にもえつきて其家焼にけり大炊御門/s28r
室町なりその隣は民部卿光忠卿の家なりけり 神事にて侍りけれは火うつしさりけり恐へき事也/s28l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/28