世継物語 ====== 第9話 土御門中納言御使にて大内山に御門おはしましけるに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 今は昔、土御門中納言((藤原朝忠。ただし、『大和物語』・『古本説話集』では堤中納言藤原兼輔で、次の歌は兼輔集に入っている。))、御使にて、大内山に御門おはしましけるに、参り給へる。 物心細げにておはします。いとあはれなり。高所なれば、雲は下(しも)より立ち上るやうに見えければ、   白雲の九重に立つ峰なれば大内山といふにぞありける ===== 翻刻 ===== 今は昔土御門中納言御使にて大内山に御門おはしまし/9オ けるにまいり給へる物心ほそけにておはしますいとあはれ 也高所なれは雲はしもより立のほるやうに見えけれは 白雲の九重にたつ嶺なれば大内山といふにそありける/9ウ