大和物語 ====== 第74段 同じ中納言殿の寝殿の前に少し遠く立てりける桜を・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 同じ中納言((藤原兼輔。[[u_yamato073|73段]]参照))、殿の寝殿の前に、少し遠く立てりける桜を、近く掘り植ゑ給ひけるが、枯れざまに見えければ、   宿近く移して植ゑしかひもなく待ち遠(どほ)にのみ見ゆる花かな と詠み給ひける。 ===== 翻刻 ===== 同中納言とののしんてむのまへにすこ しとをくたてりけるさくらをちか くをりうへ給けるかかれさまにみえけれは やとちかくうつしてうへしかひもな くまちとをにのみみゆるはなかな とよみたまひける又おなし中納言/d37l