徒然草 ====== 第94段 常磐井相国出仕し給ひけるに勅書を持ちたる北面あひ奉りて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 常磐井相国(ときはゐのしやうこく)((西園寺実氏))、出仕し給ひけるに、勅書を持ちたる北面(ほくめん)あひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国、後に、「北面なにがしは、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか君に仕(つか)うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。 「勅書を馬の上ながら、ささげて見せ奉るべし。下るべからず」とぞ。 ===== 翻刻 ===== 常磐井相国出仕し給けるに。/w1-70l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0070.jpg 勅書を持たる北面あひ奉りて。馬 よりおりたりけるを相国後に。北面なに がしは。勅書をもちながら下馬し侍り し者也。かほどの者いかでか君につ かふまつり候べきと申されければ。北面を はなたれにけり。勅書を馬の上ながら。 ささげて見せたてまつるべし。おるべ からずとぞ/w1-71r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0071.jpg