徒然草 ====== 第36段 久しく訪れぬころいかばかり恨むらんと・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 「久しく訪れぬころ、『いかばかり恨むらん』と、わが怠り思ひ知られて、言葉なき心地するに、女のかたより、『仕丁やある。一人』など、言ひおこせたるこそ、ありがたく嬉しけれ。さる心ざましたる人ぞよき」と、人の申し侍りし、さもあるべきことなり。 ===== 翻刻 ===== 久しくをとづれぬ比。いかばかりうら むらんと。我をこたりおもひしら れて。言葉なきここちするに。女のかた より仕丁やある。ひとりなどいひをこ/w1-28r せたるこそ。有がたくうれしけれ。 さる心ざましたる人ぞよきと。人の 申侍りし。さもあるべき事也/w1-28l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0028.jpg