徒然草 ====== 第24段 斎王の野宮におはしますありさまこそ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 斎王の、野宮(ののみや)におはしますありさまこそ、やさしく、おもしろきことのかぎりとは思えしか。経・仏など忌みて、「中子(なかご)」・「染紙(そめがみ)」など言ふなるもをかし。 すべて、神の社こそ、捨てがたくなまめかしきものなれや。もの古りたる森の気色もただ ならぬに、玉垣しわたして、榊(さかき)に木綿(ゆふ)かけたるなど、いみじからぬかは。 ことにをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・住吉・三輪・貴布禰・吉田・大原野・松尾・梅宮。 ===== 翻刻 ===== 斎王の。野宮におはしますありさま/w1-20l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0020.jpg こそやさしく。面白き事のかぎりとは 覚えしか。経仏などいみて。なかご。染 紙などいふなるもおかし。すべて神の 社こそすてがたくなまめかしき物 なれや。物ふりたる森のけしきも。ただ ならぬに。玉がきしわたして。さか木に ゆふかけたるなどいみじからぬかは。こと におかしきは 伊勢 賀茂 春 日 平野 住吉 三輪 貴布禰 吉田 大原野 松尾 梅宮/w1-21r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0021.jpg