とはずがたり ====== 巻5 18 これよりことさらこの道をたしなむ心も深くなりつつ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[towazu5-17|<>]] これより、ことさらこの道をたしなむ心も深くなりつつ、このついでに人丸((柿本人麻呂))の墓に七日参りて、七日といふ夜、通夜して侍りしに、   契りありて竹の末葉にかけし名のむなしき節にさて残れとや この時、一人の老翁、夢に示し給ふことありき。この面影を写しとどめ、この言の葉を記し置く。人丸講の式と名付く。先師の心にかなふ所あらば、この宿願成就せん。宿願成就せば、この式を用ゐて、かの写しとどむる御影の前にして行ふべしと思ひて、箱の底に入れて、むなしく過し侍るに、またの年の三月八日、この御影を供養して、御影供といふことをとり行ふ。 [[towazu5-17|<>]] ===== 翻刻 ===== まくらにととまるこれよりことさらこの道をたしなむ心 もふかくなりつつこのつゐてに人丸のはかに七日まいりて 七日といふ夜つやして侍しに    契りありてたけのすゑ葉にかけしなのむなしきふしにさてのこれとや このとき一人の老翁夢にしめし給事ありきこの面影 をうつしととめこのことの葉をしるしをく人丸かうのしきと なつく先師の心にかなふ所あらはこのしゆく願成就せん しゆくくわん成就せはこの式をもちいてかのうつしととむる/s229r k5-42 御影のまへにしておこなふへしとおもひてはこの底に 入てむなしくすくし侍に又のとしの三月八日この御影を 供養して御影供といふ事をとりおこなふかくて五月の/s229l k5-43 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/229 [[towazu5-17|<>]]