[[index.html|醒睡笑]] 巻8 茶の湯 ====== 11 いかにもまつたき福人あり茶の湯といふには何がいるものぞやと・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-144|<>]] いかにもまつたき福人(ふくじん)あり。「茶の湯といふには、何がいるものぞや」と。「数寄(すき)には第一の嗜(たしな)み、茶壺候ふよ」。「さあらば、一つ求めたい」。「伊勢より尋ね出でしこれは、藤助郎とて良き壺」と言ふを、代八貫に買取り、福人秘蔵(ひさう)し、名を「平家法華経伊勢物語」と付けたり。 人、その故事を問へば、「平家とは家((箱))がひらさに、法華経とは八貫((八貫・八巻))に買ふ。壺の出処(しゆつしよ)は伊勢物なり。わざとさしたる家((あつらえた箱))にてなければ、持ち歩くたび、かたりかたりと鳴るほどに」。 [[n_sesuisho8-144|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 如何にもまつたき福人あり茶の湯といふ/n8-55l   にはなにか入物ぞやと数寄には第一の嗜茶   壺(つぼ)候よさあらは一つもとめたい伊勢より尋出し   これは藤助郎とてよき壺といふを代八貫に   かひとり福人秘蔵し名を平家法華経伊勢物   語とつけたり人其故事をとへは平家とは   家がひらさに法華経とは八貫にかふ壺の   出処は伊勢物なり態さしたる家にて   なけれはもちあるくたひかたりかたりとなる   ほとに/n8-56r