[[index.html|醒睡笑]] 巻8 かすり
====== 9 遠州の内かたはらに古寺あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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遠州の内、かたはらに古寺あり。鷹野に出でける武士の候ひて、思ひ寄らず立ち寄られたれば、住持とおぼしき僧、手づから堂のまへを鋤(すき)す。「何のためぞや」と問ひけるに、「菜園なり。その節をうかがひ、種をおろさんとす」と。すなはち侍の言へるは、「道場の庭に、なをまくさまんだの時((菜を蒔く・不動明王真言「のうまくさんまんだ・・・」))、いかん」とあれば、老僧、鍬のかしらを押さへて「せんだ((千駄・不動明王真言「のうまくさんまんだばざらだんせんだ・・・」))ばかりもできさせ給へ」と。
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===== 翻刻 =====
一 遠州の内かたはらに古寺あり鷹野に出
ける武士の候ておもひよらす立よられたれは
住持とおぼしき僧手つから堂のまへをすき
すなにのためそやと問けるに菜園也其節
をうかがひ種をおろさんとすとすなはち侍の
いへるは道場の庭になをまくさまんたの時い
かんとあれは老僧鍬のかしらををさへて/n8-38r
せんだはかりもできさせたまへと/n8-38l