[[index.html|醒睡笑]] 巻8 かすり
====== 6 江州志賀の浦に姥あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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江州志賀の浦に姥(うば)あり。天然作意、生まれつきて、かすりしかじか((秀句(しうく)か。))を言ふに上手なり。
かするを好む盲者あり。若狭の小浜より、はるばるとかれがもとへ会ひに行き、何となう宿を借りしが、飯の汁を一口吸ひ、「この汁の実はなにぞ」と問ふ。姥、「それはくぐたちの汁候ふよ」。「人の口切らうとて((くぐたち≒口太刀))」。「いや、去年八月からなまいて((焼きなます・菜蒔く))おいた」と。
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===== 翻刻 =====
一 江州志賀の浦に姥(うは)あり天然作意むまれ
つきてかすりしかしかをいふに上手なりかするを
このむ盲者あり若狭の小浜よりはるはる
とかれがもとへあひに行なにとなふ宿をかり
しか飯の汁を一口すひ此汁の実はなにぞと
とふ姥それはくくたちの汁候よ人の口き
らふとていや去年八月からなまいてをいたと/n8-37r