[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 71 為景公狩りするついで深山の巌穴に座禅の僧あり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-070|<>]] 為景公((長尾為景))、狩りするついで、深山の巌穴(いはあな)に座禅の僧あり。かれに向かひ、「われは弓箭(ゆみや)を帯して((「帯して」は底本表記「対して」。))来るさへ、ものすさまじき所なり。何として、かかる峭壁(せうへき)には住するや」。僧云ふ、「われ心があらうにて、淋しからめ。心なければ、淋しとも思はね」と。時に為景公、「答ふる者は誰(た)そ」。僧云ふ、「巌松無心風来吟。問へばこそ答へたれ」。 [[n_sesuisho8-070|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 為景公狩する次て深山の巌穴に座禅の   僧あり彼れに向ひわれは弓箭を対して   来さへ物すさましき処也なにとしてかかる   峭壁には住するや僧云われ心かあらうにて   さひしからめ心なけれはさびしとも思はねと   時に為景公答る者はたそ僧云巌松無   心風来吟問へはこそ答へたれ/n8-30r