[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 30 京の町にてしだれ柳の物見なるを持ち歩く・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-029|<>]] 京の町にて、しだれ柳の物見なるを持ち歩(あり)く。人、この柳を見付け、ことわりもなく押して取る。「こはなんぞ、狼藉なり」。「知らずや。『柳はみどり((緑・見取り。「柳緑花紅真面目」による。蘇軾の詩句とされる禅語。))』といふことを」。「げに、もつとも道理あり」と、すなはち棒((底本表記「奉」))をもつて、かれが鼻をはりたり。大きに血流る。「これは」と怒(いか)れば、「それこそ、『はなは紅(くれなゐ)に((花・鼻))』」。 [[n_sesuisho8-029|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 京の町にてしたれ柳の物見なるをもちありく   人此柳を見付ことはりもなくをしてとるこは   なんぞ狼藉(らうせき)なりしらすや柳はみどりといふ   事を実尤道理(げにもつともたうり)ありとすなはち奉(ほう)をもつ   てかれか鼻(はな)をはりたり大に血なかるこれはと   いかれはそれこそはなはくれなゐに/n8-14r