[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 23 濃州鏡島にて乙津寺梅の寺といふ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-022|<>]] 濃州鏡島(かがしま)にて、乙津寺(おつしんじ)、梅の寺といふ。かの寺にて、  香がしまはこと木もにほへ梅の花 祇公((宗祇)) この寺の一代に蘭叔和尚(らんしゆくをしやう)((蘭叔玄秀))とてあり。酒盛りの座にて、正雲といふ僧に、「一つ飲め」とあり。「禁酒(きんしゆ)」と答ふ。「何事に」。「飲酒(おんじゆ)はこれ仏戒(ぶつかい)なり」と。「して、飯をも断つか」。「飯を戒めの旨(むね)ありや」。「なかなか」。「いかい((飯匙・飯戒))、またはおだいかい((お台匙・お台戒。お台は飯の女房詞。))、禁戒よ。 和尚は酒茶論の作者なり((底本この文、一字空きで小書き二行。))。 [[n_sesuisho8-022|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 濃州鏡島(しゆうしうかかみしま)にて乙津寺梅の寺といふ彼寺にて    香かしまはこと木もにほへ梅の花祇公   此寺の一代に蘭叔和尚(らんしゆくおしやう)とてあり酒もりの座   にて正雲といふ僧に一つのめとあり禁酒(きんしゆ)と/n8-11l   こたふ何事に飲酒はこれ仏戒(ふつかい)なりとして   飯をもたつか飯をいましめの旨ありや中々い   かい又はおたいがい禁戒(きんかい)よ(和尚は酒茶論の/作者なり)/n8-12r