[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 10 天龍寺の開山夢窓国師は超過福僧にてまします・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-009|<>]] 天龍寺の開山夢窓国師((夢窓疎石))は、超過福僧(てうくわふくそう)にてまします。僧形いかも肩薄くすぼみたり。 人、拝顔をとげ言上(ごんじやう)するやう、「世間に貧窮の輩(ともがら)をば、なべて肩の薄い者とも、また、『無力すれば、肩がすぼうだ((「すぼうだ」は底本「すはふた」。諸本により訂正。))』とこそ申し伝へて候へ。夢窓の御肩、興さめて薄くすぼみたれど、福分におはしますはいかん」と、「さればよ、予(われ)が肩、あまりに薄くすぼみて、貧乏守の居所がなきによ」とのたまへり。 [[n_sesuisho8-009|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 天龍寺(てんりうし)の開山(かいさん)夢窓国師(むさうこくし)は超過福僧(ちやうくわふくそう)にて   まします僧形(そうきやう)如何にも肩(かた)うすくすほみたり   人拝顔をとけ言上するやう世間に貧窮(ひんきう)の   輩(ともから)をはなへて肩のうすい者とも又無力すれば   肩かすはふたとこそ申伝て候へ夢窓の御肩/n8-7r   興さめてうすくすぼみたれど福分におは   しますはいかんとされはよ予(われ)が肩あまりに   うすくすほみてひんほうかみの居所がなき   によとの給へり/n8-7l