[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 2 尾州熱田大明神の祭礼に貴賤参詣の袖を連ぬる・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-001|<>]] 尾州熱田大明神((熱田神宮))の祭礼に、貴賤参詣の袖を連ぬる。かしこも伊勢両宮((伊勢神宮の内宮と外宮。))のごとく、禰宜(ねぎ)集まり袂(たもと)にむすぼほれ、銭を貰(もろ)ふことかまびすしきほどなり。 さるまま、百姓あまた連れだち下向するに、「さても、熱田の禰宜どもは人でないぞ」と言ひつつ、きつと後ろを見れば、白張装束(しらはりしやうぞく)に烏帽子(ゑぼし)きて、金磨きの扇末広がりを持ちたるあり。大きに驚き、そのまま、「ただ神半分の人よ」と。 [[n_sesuisho8-001|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 尾州(ひしう)熱田(あつた)大明神の祭礼(さいれい)に貴賤(きせん)参詣(さんけい)の   袖をつらぬるかしこも伊勢両宮のことく禰宜   あつまり袂にむすほほれ銭をもろふ   事かまびすしき程也さるまま百姓(しやう)あまた   つれだち下向するにさても熱田の禰宜とも   は人てないぞといひつつ急度うしろを見れは   白張装束(しらはりしやうぞく)に烏帽子(えぼし)きて金磨(みかき)の扇(ふふき)すへ   ひろかりをもちたるあり大におとろきそのまま/n8-4r   たた神半分(かみはんふん)の人よと/n8-4l