[[index.html|醒睡笑]] 巻7 いひ損ひはなほらぬ ====== 10 移徙の祝儀につかはす使を呼び主の教へけるは・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho7-028|<>]] 移徙(わたまし)の祝儀につかはす使を呼び、主(しう)の教へけるは、「かまへて常のところに行くとは違ふぞ。一言にても麁末(そまつ)なること申すべからず」とあり。「かしこまりて候ふ」とて行く。 主人、献々(こんこん)をくむ。されども、つひに瘖(おし)の寄り合ひたるごとくなれば、主(あるじ)すまぬことに思ひ、「貴所はいかなる子細により、無言の仕合せぞや。わめきざめくこそめでたけれ」と言ふ時、「さればとよ。さきからものが言ひたうて、胸が焼くる((棟が焼くるに通じる。))ほどあつたれど」。 [[n_sesuisho7-028|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 わたましの祝義につかはす使をよび主(しう)のを   しへけるはかまへてつねの処に行(ゆく)とはちがふ/n7-17r   ぞ一言にても麁末なる事申へからすと   あり畏て候とて行主人献々(こんこん)をくむされ   どもつゐに瘖(おし)のよりあひたるごとくなれは   あるじすまぬ事におもひ貴所はいかなる子細(しさゐ)   により無言の仕合ぞやわめきさめくこそ   目出けれといふ時されはとよさきから物がいひ   たふてむねかやくるほとあつたれど/n7-17l