[[index.html|醒睡笑]] 巻7 いひ損ひはなほらぬ ====== 4 泉州堺の津よりるすん渡りの商人住吉へ社参し宿願に船の絵を書き・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho7-022|<>]] 泉州((和泉国))堺の津より、るすん((ルソン島))渡りの商人(あきうど)、住吉へ社参し、宿願に船の絵を書き、一の神殿に捧げ、神楽など参らせ、喜びの酒盛りするに、順の舞とて扇をさしたれば、その人謡ふやう、「せんかた涙にふし沈むことぞ悲しき」と。 その助右衛門船といふこそ、まぎれなく覆(くつがへ)りたれ。   船ならで渡す瀬あらば七夕に貸さばや天のかはらげの駒 [[n_sesuisho7-022|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 泉州境(さかい)の津よりるすんわたりの商(あき)人   住吉(すみよし)へ社参(しやさん)し宿願(しゆくくはん)に船の絵(ゑ)を書(かき)一   之神殿(しんてん)に捧(ささげ)神楽(かぐら)なと参らせよろこひ   の酒もりするに順の舞とて扇(あふき)をさし   たれは其人うたふやうせんかた涙(なみた)にふし   しつむ事ぞかなしきと其助右衛門舟といふ   こそまぎれなくくつかへりたれ    船ならでわたす瀬あらは七夕に     かさはや天のかはらけの駒/n7-15r