[[index.html|醒睡笑]] 巻7 いひ損ひはなほらぬ
====== 2 惣別茄子の枯るるをば百姓みなまふといふなり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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惣別(そうべつ)茄子(なすび)の枯るるをば、百姓みな、「まふ」といふなり。和泉にてのことなるに、道のほとりに茄子を植うる者あり。下手らしき舞々(まひまひ)の通りあはせ、見れば大きなる徳利((底本表記「土工李」))に盃を添へてあり。ちとこれをなん望みにや思ひけん、畠(はたけ)へ立ち寄り、「さらば一節(ひとふし)舞はん」と言ふ。百姓、「門出(かどいで)悪しし」と大きに腹立(ふくりう)しけれど、とかく言ひ寄り、酒をのみ飲ませけるが、立ちて行きざまに、「さきの腹立は、互ひに根も葉もおりない」と。
花塗りをした((底本この行数文字下げで小書き。花塗りは漆の上塗りのこと。))。
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===== 翻刻 =====
一 惣別茄子(なすび)のかるるをば百姓みなまふといふ也
和泉にての事なるに道のほとりに茄子を
うふる者ありへたらしき舞々(まいまい)のとをり
あはせ見れば大なる土工李(とくり)に盃(さかつき)をそへ
てありちとこれをなん望にやおもひけん畠(はたけ)
へたちよりさらは一ふしまはんといふ百姓かど
いであししと大に腹立(ふくりう)しけれどとかくいひより/n7-14r
酒をのみのませけるが立て行さまにさきの
腹立はたがひにねもはもおりないと
はなぬりをした/n7-14l