[[index.html|醒睡笑]] 巻6 うそつき
====== 11 伊勢の国をのぞきたることもなうていくたびも参宮したるよし話す者あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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伊勢の国をのぞきたることもなうて、いくたびも参宮したるよし話す者あり。「そちは、細々(さいさい)伊勢へと聞くが、さこそ海老を沢山に見られつらうこそ」。「宮川で見た。色が赤うて見事にあつた」。「海老は海にあるものなり。生得(しやうとく)色は青く黒し。煎(い)りて後こそ赤けれ。宮川は川ではないか。嘘(うそ)さうな」。「いや、御身は狭(せば)いことを仰せある。物好きがありて海老をいくつ((「いくつ」は底本「いつく」。諸本により訂正。))川へ放(はな)いたやら、お知りあつたか」と。
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===== 翻刻 =====
一 伊勢の国をのそきたる事もなうていくた
ひも参宮したるよしはなす者ありそちは
細々伊勢へときくかさこそ海老を沢山に見られ
つらふこそ宮川て見た色かあかふて見事に
あつた海老は海にある物なり生得色はあを
くくろしいりて後こそあかけれ宮川は河で
はないかうそさうないや御身はせばい事をおほせ
ある物ずきかありてゑひをいつく河へはな/n6-64l
いたやらおしりあつたかと/n6-65r