[[index.html|醒睡笑]] 巻6 うそつき ====== 10 神妙にもなき人集りゐける中に一人言ふ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-129|<>]] 神妙((「神妙」は底本「神様」。諸本により訂正。))にもなき人、集りゐける中に、一人言ふ、「そなたたちのうちに、雷(かみなり)の鮨(すし)を食うた人があるか」。「いや、なし」。「さうあらう。まれな物ぢやほどに」。「して、そちは食うたか」。「なかなか食うた」。「味は甘いか酸(す)いか」と問ふに、「ちと雲臭かつた」と。 「雲無心にして岫(しう)を出づ((陶淵明「帰去来辞」))」とあれば、「土臭い」とせめて言へかし((底本この文、数文字下げで小書き。))。 [[n_sesuisho6-129|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 神様にもなき人あつまりゐける中に一人   いふそなたたちのうちにかみなりのすしをくふ   た人かあるかいやなし左右あらふまれな物   しやほとにしてそちはくふたか中々くふた味は   あまいかすいかととふにちと雲くさかつたと/n6-64r    雲無心にして岫を出とあれは土くさいとせめていへかし/n6-64l