[[index.html|醒睡笑]] 巻6 推はちがうた ====== 27 堺の津より作城といふ座頭讃岐に渡る・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-109|<>]] 堺((「堺」は底本「楮」。頭注に「楮本ノママ不審」と朱書。諸本により訂正。))の津より作城といふ座頭、讃岐に渡る。ころは霜月寒夜の旅なるに、広間に薄衣にて寝(い)ねんことをいたはり、局方(つぼねがた)より濁酒を燗(かん)をいかにも熱くし、十一・二なる女房に持たせけり。「これを衾(ふすま)に着て寝られよ」と言へば((「言へば」は底本「いへと」。諸本により訂正。))作城はまことの衾と思ひ、「年よりぬれば、起き臥すもむつかしきに、寝ねてゐながら、とてものことに着せて給はれ」と申しければ、「おう」と言うて、ぢきに頭へかけごとは。 名人の寄り合ひにては候はずや((底本この文数文字下げで小書き。))。 [[n_sesuisho6-109|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 楮の津より作城といふ座頭讃岐にわたる比   は霜月寒夜の旅なるに広間に薄衣にて   いねん事をいたはり局方より濁酒をかんを   いかにもあつくし十一二なる女房にもたせけり   是をふすまにきてねられよといへと作城はまことの/n6-53l   衾とおもひ年よりぬれは起ふすもむつかしき   にいねてゐながら迚の事にきせてたまはれと申   けれは応といふてちきに頭へかけことは     名人のよりあひにては候はすや/n6-54r