[[index.html|醒睡笑]] 巻6 推はちがうた ====== 24 隣より五つ六つなる息子元日に来たり小歌を歌はうと言ふ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-106|<>]] 隣より五つ六つなる息子、元日に来たり、「小歌を歌はう」と言ふ。夫婦ながら喜び愛し、「めでたや。歌うて聞かせよ」と所望しければ、「とととかかとはない中ぢや。銭が一文ない中ぢや」。   侘人(わびびと)は憂き世の中にいけらじと思ふことさへかなはざりけり   ちがうたり天地夜昼下戸上戸(あめつちよるひるげこじやうご)雪墨鈍智(ゆきすみどんち)人の貧福 貧法師   戸をささねども盗人そ来(こ)ぬ    とふも憂き世によしや恨みじ   影清く夜わたる月に秋の空 [[n_sesuisho6-106|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 隣より五つ六つなるむすこ元日に来り小   哥をうたはふといふ夫婦なからよろこひあいし   目出たやうたふてきかせよと所望しけれはとと   とかかとはない中じや銭か一文ない中じや    侘人はうき世の中にいけらしと    おもふことさへかなはさりけり    ちかふたり天地夜昼下戸上戸/n6-52l    雪すみ鈍智人の貧福    貧法師    戸をささねとも盗人そこぬ     とふも憂世によしやうらみし    影清く夜わたる月に秋の空/n6-53r