[[index.html|醒睡笑]] 巻6 推はちがうた ====== 8 京より連歌の上手とて因州鳥取に下り宗匠をせられしが・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-090|<>]] 京より連歌の上手とて、因州鳥取に下り、宗匠をせられしが、人の句を出だせば、「あなおもしろき取り合せや。さすが古薬練(ふるぐすね)や」と感じけり。 かくて三年の後帰洛せらる。指南を受けたる人々、はなむけに門送(かどおく)りし、酒の盃めぐるひまに、たもとをひかへ、「この年月、古薬練、古薬練とありし言葉は、何といふことぞや」と尋ぬるに、「いや、ただ古薬練が付かぬ物なるまま、連歌の付かぬ句あるをわれは申して候ふと。 日ごろの量り、かたそばであつた((底本この行、数文字下げで小書き。))。 [[n_sesuisho6-090|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 京より連歌の上手とて因州とつとりにく   たり宗匠をせられしが人の句を出せはあな   おもしろきとりあはせやさすがふるぐすね   やと感しけりかくて三年の後帰洛せらる   指南をうけたる人々はなむけに門送りし   酒の盃めくるひまにたもとをひかへ此年月   ふるくすねふるくすねとありし言葉はなんとい   ふ事そやとたつぬるにいやただふるくすねかつかぬ   物なるまま連歌のつかぬ句有を我は申て候と      日比の量かたそばであつた/n6-44l