[[index.html|醒睡笑]] 巻6 推はちがうた ====== 1 洛陽に一噌とて名を得たる笛吹きあり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-083|<>]] 洛陽((京都))に一噌(いつそ)とて、名を得たる笛吹きあり。弟子の無器用なるに、名を秋風と付くる。 かの弟子、心に思ふやう、「秋風は物にあふといふ縁あり。わが笛を褒賞して付けられけるこそかたじけなけれ」と自慢限りなき折節、同学の者、一噌に問ふ、「秋風とは何のゆゑに付け給ふぞや」。「別に、われは所存なし。秋風は吹くほと悪しきものなり。かれが笛も、吹くほど悪いほどに」と。 [[n_sesuisho6-083|<>]] ===== 翻刻 =====    推はちがうた 一 洛陽に一噌とて名を得たる笛吹あり弟   子の無器用なるに名を秋風とつくる彼弟子   心に思ふやう秋風は物にあふといふえん有   我か笛を褒賞してつけられけるこそ忝けれ   と自慢かぎりなきおりふし同学の者一噌   にとふ秋風とはなんの故につけ給ふそや別   に我は所存なし秋風はふくほとあしき物   なりかれか笛も吹ほとわるいほとにと/n6-41l