[[index.html|醒睡笑]] 巻6 詮ない秘密 ====== 4 義経東国下向の時一夜の宿を借られけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-078|<>]] 義経((源義経))東国下向の時、一夜の宿を借られけり。弁慶、主(あるじ)の女房に、「子は幾人(いくたり)候ふぞ」と問へば、「父(てて)の子六人、母の子六人、合はせて九人候ふ」と答へしを、何とも当座に当たらず、明けの日も案ずるとて、弁慶、道を七里歩み遅れたるとなん。 これは、父に始めの腹の子三人あり、母にも始めの夫の子三人あり。今、夫妻の中に三人出来たり。父に分けてみれば六人、母に分けてみれば六人、されども、きはまりは九人。 「子は九人ある」とは言はいで。 [[n_sesuisho6-078|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 義経東国下向の時一夜の宿をかられけり弁慶/n6-39r   あるしの女房に子はいくたり候そととへはてての   子六人母の子六人あはせて九人候とこたへ   しを何とも当座にあたらす明の日も案する   とて弁慶道を七里あゆみをくれたるとなん   これはててに始の腹の子三人あり母にも始の   夫の子三人あり今夫妻の中に三人出来   たりててにわけてみれは六人母にわけてみれは   六人されともきはまりは九人子は九人あるとはいはひて/n6-39l