[[index.html|醒睡笑]] 巻6 恋のみち
====== 2 僧の落堕してゐけるをよしみある人なつかしく見参のために尋ね寄る・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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僧の落堕(らくだ)してゐけるを、よしみある人、なつかしく見参のために尋ね寄る。越し方を語りつるが、出額(でびたひ)にむかう歯高くそり、鼻はひらめにて、頬先とがりたる女房の、内外(うちそと)歩(あり)くあり。「あれは下主(げす)にてぞあるらん」と、詳しく問ひければ、「あれこそわが本妻」と言ふに驚き、「こは何の因果に、あれていの者には添ふことや」と笑ひたれば、「何事を言はるるぞ。おちくちには目が見えなんだ」。
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===== 翻刻 =====
一 僧の落堕してゐけるをよしみある人なつ
かしく見参のために尋よるこしかたをかたりつるか
てひたいにむかふはたかくそり鼻はひらめにて
頬先とがりたる女房の内そとありくありあ
れは下主にてぞあるらんとくはしくとひけれは
あれこそわが本妻といふに驚こはなにの因果
にあれていの者にはそふ事やとわらひたれは
なに事をいはるるぞおちくちには目か見えなんだ/n6-31r