[[index.html|醒睡笑]] 巻6 児の噂
====== 45 ある時児茗荷のあへ物をひたもの食せらるる・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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ある時、児(ちご)、茗荷(みやうが)のあへ物をひたもの食せらるる。中将((僧の名。))見て、それは周利槃特(しゆりはんどく)が塚より生じて鈍根草(どんこんさう)といへば、学問など心がくる人の食ふべきことにてはなし」と戒めける時、児、「なかなかのことや。これは鈍になり、物を忘るる((「忘るる」は底本「わするも」。諸本により訂正。))草よのう。ただし((「ただし」は底本「たし」。諸本により訂正))、嘘であらう。その子細は、三年次に、このごとくあへたる茗荷を食うてあつたが、今にそのうまさをば忘れぬほどに、食うたがましよ」と。
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===== 翻刻 =====
一 ある時児茗荷のあへ物をひた物食せらるる
中将見てそれは周利盤特(とく)か塚より生して
鈍根草といへは学問なと心かくる人のくふへき/n6-22r
事にてはなしといましめける時児中々の
ことや是は鈍になり物をわするも草よのふた
しうそてあらふ其子細は三年次にこのことく
あへたるみやうかをくふてあつたか今にそのう
まさをはわすれぬほとにくふたがましよと/n6-22l