[[index.html|醒睡笑]] 巻6 児の噂 ====== 43 延暦寺にて下法師山へ行く時児に言ふ昼の飯をば棚に置きたり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-042|<>]] 延暦寺にて、下法師(しもほふし)山へ行く時、児(ちご)に言ふ、「昼の飯をば棚に置きたり。九つ鳴りてあらば参れ」と教へぬ。 かの下僧(げそう)、案の外、常より早く昼以前にしまひて帰り見れば、児の飯なし。「これは不審や」と問ふ。「とくはや食うた」と返事せらる。「いまだ九つは鳴らず。いかでか」と申せば、「いや、今朝五つ、さきに四つ打ちたれば、九つ鳴つたほどに、それに食うたは」と。 [[n_sesuisho6-042|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 延暦寺にて下法師山へ行時児にいふ昼の   飯をは棚にをきたり九つなりてあらはまいれ   とをしへぬ彼下僧案の外常よりはやく昼/n6-21r   以前にしまひてかへりみれは児の飯なし是は   不審やととふとくはやくふたと返事せらるい   また九つはならすいかてかと申せはいやけさ   五つさきに四つうちたれは九つなつたほと   にそれにくふたはと/n6-21l