[[index.html|醒睡笑]] 巻5 人はそだち
====== 29 堺にて故薬師院といふ医者あり客に対し可盃を出だせり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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堺にて、故薬師院といふ医者(いしや)あり。客に対し可盃(べくさかづき)を出だせり。院主、興をもよほし、「この盃の名を、みつからたはぶれに『夏菊』と付けてこそ候ふは。そのゆゑは、しも((霜・下))に置かれねばなり」と語られしを、その座にありし者、ことの外に感じ、他席にて話すやう、「可盃を夏菊とはげにもなり。したに置かれぬほどに」。
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===== 翻刻 =====
一 堺にて故薬師院といふ医者(いしや)あり客に対し/n5-65r
べく盃を出せり院主興をもよほし此盃
の名をみつからたはふれに夏菊とつけて
こそ候は其故はしもにをかれねばなりとかた
られしを其座にありし者事の外に
かんじ他席にてはなすやうへく盃を
夏菊とはげにもなりしたにをかれぬ程に/n5-65l