[[index.html|醒睡笑]] 巻5 人はそだち ====== 8 摂津国の内小妻といふ所は海辺にて漁人多く住めり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho5-074|<>]] 摂津国(つのくに)の内、小妻といふ所は海辺(かいへん)にて、漁人(ぎよじん)多く住めり。いづくよりとなく大鷹一つ、もとそれて来たり、畠にゐるを捕らへ、宿に帰り、大きなる籠(かご)に入れて置きけり。 二十ばかりなる惣領の子が、「何をがな、鷹の餌(ゑど)にせうやれ」と言ふ。親聞きて、「餌とは何ぞや。どこぞ素人のやうに」と叱る。「何と言ふがよきぞ」と問ふ。「鷹のをば粮米(らうまい)と言ふがよい」。 [[n_sesuisho5-074|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 つの国の内小妻(こつま)といふ処は海辺(かいへん)にて漁人(きよしん)   多くすめりいつくよりとなく大鷹一もとそれ   て来り畠にゐるをとらへ宿に帰り大なる   かごに入てをきけり廿はかりなる惣領の子が/n5-55l   なにをがな鷹のゑどにせうやれといふ親   聞てゑどとはなんそやどこぞしらうとのやう   にとしかるなにといふが能(よき)そととふ鷹の   をはらうまいといふがよい/n5-56r