[[index.html|醒睡笑]] 巻5 上戸 ====== 18 何にか思ひ立ちけん一期酒飲むまいと神文し・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho5-059|<>]] 何にか思ひ立ちけん、「一期酒飲むまい」と神文(しんもん)し、二十日ばかり後、しきりに飲まんと言ふ。女房、「こはもつたいなし。天命をばいかが」と教訓しけるに、「いや、神明は人の心は見ぬいて、『何としたりとえこらへまい。やがて飲みたからうものを」と、とくから知ろし召され、結句(けつく)大慈大悲の御むねなれば、『一つ飲ませたい』とこそ思し召されんずれ」。 [[n_sesuisho5-059|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 なににか思ひたちけん一期酒のむまいと神文   し廿日斗後しきりにのまんといふ女房こは   勿体(もつたい)なし天命(てんめい)をばいかがと教訓(けうくん)しけるに   いや神明は人の心は見ぬいて何としたりと/n5-46r   えこらへまいやがてのみたからふ物をととくから   しろしめされけつく大慈大悲の御むねなれば   一つのませたいとこそおほしめされんすれ/n5-46l