[[index.html|醒睡笑]] 巻5 婲心 ====== 32 朝夕に木をこりて親を養ふ孝養の心天に知れぬ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho5-031|<>]] 朝夕に木をこりて、親を養ふ孝養(きやうやう)の心、天に知れぬ。梶(かぢ)もなき舟に乗り、向ひの島に行くに、朝(あした)には南の風吹き、北の島に吹き付け、夕にはまた舟に木をこりゐたれば、北の風吹きて、家に吹き付けつ。 かくのごとくするほどに、年ごろになりて、おほやけに聞こし召し、大臣になし召し使はるる。その名を鄭太尉((鄭弘))といひける。 [[n_sesuisho5-031|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 朝夕に木をこりて親をやしなふ孝養(きやうよう)の心   天にしれぬ梶(かぢ)もなき舟に乗むかひの嶋   に行に朝には南の風吹北の嶋に吹つけ夕には   又舟に木をこりゐたれは北の風吹て家に吹つけ/n5-17l   つかくのことくする程に年比に成て大やけに   きこしめし大臣になしめしつかはるる其名を   鄭太尉(ていたいい)といひける/n5-18r