[[index.html|醒睡笑]] 巻5 婲心 ====== 27 鎌倉の中納言為相は定家の孫なりし。・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho5-026|<>]] 鎌倉の中納言為相((冷泉為相・藤原為相))は定家((藤原定家))の孫なりし。相模の唱名寺((称名寺))といふ律家の寺あり。かしこの庭に、山々に先だち、いかにも早く紅葉する楓の木の候ふに、短冊を付けらる。 為相  いかにしてこの一本(ひともと)のしぐれけん山に先だつ庭のもみぢ葉 その翌年より、つねの色にかへり、紅葉をぞとどめける。  色には見せていふことはなし  春秋(はるあき)を草木にうつす天津空(あまつそら)  兼載((猪苗代兼載)) [[n_sesuisho5-026|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 鎌倉の中納言為相(ためすけ)は定家の孫なりし   相模(さかみ)の唱名(しやうみやう)寺といふ律家の寺ありかしこ   の庭に山々にさきたちいかにもはやく紅葉/n5-15r   する楓の木の候に短冊をつけらる        為相    いかにしてこの一本のしぐれけん     山にさきたつ庭の紅葉々   其翌年(よくねん)よりつねの色にかへり紅葉をそ   ととめける     色には見せていふ事はなし    春秋を草木にうつす天津空  兼載/n5-15l