[[index.html|醒睡笑]] 巻4 唯あり
====== 6 長老たち四五人休座の物語ほど過ぎ・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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長老たち四・五人、休座(きうざ)の物語ほど過ぎ、あげくに、「『一文は無文の師』とて、学解(かくげ)なきも法輪((「法輪」は底本「法倫」。諸本により訂正。))にのぞむは常の習ひなり。誰が身の上も、おのれとは知らず癖(くせ)があらば、互ひに言うて直さん」と、その癖々をいふ。
中に一人は、そと座を立ちて帰り、「うつけを尽し、われわれの恥をあらはすなるべし」と自讃(じさん)し、弟子に向ひ、「さはありながら、われにも何に癖があるといふか」と問はれければ、「いや、何とも癖は別にない。ただ談義の下手ぢや」と申すといへり。
弟子の口上、正直なるかな((底本、この一行数字下げで小書き。))。
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===== 翻刻 =====
一 長老達四五人休座(ざ)の物語ほと過あけくに
一文(もん)は無文(むもん)の師とて学解(かくけ)なきも法倫(ほうりん)
に望(のそむ)は常(つね)の習(ならひ)也誰が身の上もをのれとは
しらすくせがあらはたかひにいふてなをさんと
其曲(くせ)々をいふ中に一人はそと座を立(たち)て/n4-57r
かへりうつけをつくしわれわれのはちを
あらはすなるへしと自讃(じさん)し弟子にむかひ
左はありなから我にもなにに曲(くせ)があると
いふかととはれけれはいやなにともくせは別に
ない唯談義(たんき)の下手しやと申といへり
弟子の口上正直なるかな/n4-57l