[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 46 唐船の謡に身もがな二つとあるを一人はいもがな二つと覚ゆる・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-087|<>]] 唐船(たうせん)の謡(うたひ)((謡曲「唐船」))に、「身もがな二つ((身もがな二つ箱崎の恨めしの心づくしや『唐船』。))」とあるを、一人は「いもがな二つ」と覚ゆる。一人は「身もがな二つ」と覚え、いさかひになり、「この在所にて問はん人なし。寺に行き住持の僧に問はん」とて、二人連れ立ち、「かく」と言ふに、かの僧、本を読むまではなくて、「一番謡ひ給へ。聞いてすまさむ」と謡はせて、「かの一処には『身もがな』とあれども、ただ『いもがな二つ』がよい」。「いかなれば」と尋ねければ、「『日本人(にほんひと)も随喜(ずいき)((かほどの孝子ありけるよと日本人も随喜せり『唐船』。随喜・芋茎))せり』とあるほどに」。 [[n_sesuisho4-087|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 唐船(とうせん)の謡(うたひ)に身もかな二つとあるを一人   はいもかな二つとおほゆる一人は身もかな二   つとおほえいさかひになり此在所にてとはん   人なし寺に行住持の僧にとはんとて二人つれ   たちかくといふに彼僧本をよむまてはなくて   一番うたひ給へきいてすまさむとうたはせて   彼一処には身もかなとあれとも唯いもかな二つ/n4-53l   がよい如何なれはと尋けれは日本人も随喜せ   りとあるほどに/n4-54r