[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点
====== 41 山より里に出づる者二人連れ立ちある川の橋を渡るとて・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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山より里に出づる者、二人連れ立ち、ある川の橋を渡るとて、水底をありく魚を見、一人が言ふ、「あれは口わき白し。鮎(あゆ)なり」と。連れの言ふ、「鮎ではない。鮎ならば飯が付きてあらむものを。あれは鯖(さば)てあらうず」。先に鮎と言ひつる者、「いやいや、鯖ならば負はれてをらうが、一つありくほどに、なかなか鯖ではない」と。
これを思ふに、一人は鮎の鮨(すし)ばかりを見付けたり。一人は刺鯖(さしさば)ばかりを見付けたればなり。
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===== 翻刻 =====
一 山より里に出る者二人つれたちある河の/n4-51l
橋をわたるとて水底(みつそこ)をありく魚を見一
人かいふあれは口はきしろし鮎(あゆ)なりとつ
れのいふ鮎ではない鮎ならは飯かつきてあ
らむ物をあれは鯖(さは)てあらふすさきに鮎と
いひつる者いやいや鯖ならはおはれてをらふが
一つありくほとに中々鯖ではないと是
をおもふに一人は鮎の鮓(すし)斗(はかり)を見付たり一人は
さし鯖(さは)斗を見付たれはなり/n4-52r